お山に昇る日

バニラ、お山に登る日。

人生30ン年歩んだ私ですらやったことのない、オペをバニラは経験します。宣告から1週間。一日でも早くということでついにやってきてしまいました。
正直マオは「悪者をやっつける」という認識はあるものの手術は難しくて分からない。ずっと見守っている我々の方がまいってしまって、眠れないし食事は摂れない状態で、私は自覚ある軽い躁鬱でした。
いつもより少し早く起きて食事の代わりにお茶を飲み、歯を磨き、iPodで大好きな歌を聴き、大好きなTV番組も見ることが出来てリラックスできたなぁと思ったけれど、いざ出陣！という時に察するものですね。泣きはじめてしまいました。 入室してからの麻酔なので、しっかりと記憶に刻まれたことでしょう。明るい院内とはいえ、異様な雰囲気。オペ着を着た医師や看護師さんに囲まれ怖かったんだろうな。「がんばっておいで」と声を掛けたけれど、マオは終始「やだの、やだの」だった。そして歯ブラシを持ったまま入室。

待つこと10時間半 。

それはそれは、3日も1週間にも1か月にも感じるような時間でもあり、もどかしくもあり、時間感覚が狂ってなんだか不思議な状態でした。
久しぶりに再会出来たバニラ、高く荒れて険しい山道だったようで疲れて眠っていました。しばらくそっと休ませておきたいくらいです。でもまだバニラの冒険は続きます。いくつもの小さな山々を登っては下り、登っては下りを繰り返し、ひとつもふたつも大きくなって晴れて私たちのもとへ戻って来てくれる予定です。
また静かにバニラの手を握る時間がやってきました。